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ゲイの「鉄板キメ顔」の法則。みんな同じ表情になってしまう謎を、美大卒のゲイと分析してみた。

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ネットの海で溺れかかっている「アンロミー!」読者の皆様こんにちは!

コンテンツ供給が素人のブログ並みのウェブマガジン「アンロミー!」です。

今回、ホモの七不思議の1つである、”キメ顔が同じ顔になってしまう現象”にケチをつけてみようと思い、美大出身者の協力を得て、その謎に迫ってみようと思います。

思えば、SNSにこんなにどっぷり浸かっていなかった時分。画像付き掲示板時代に初めて、自分の顔を撮る(いわゆる自撮り)をしたのが最初の記憶です。その時から誰に教えてもらうことなく、無意識に今回の記事で取り上げる、「鉄板キメ顔」をしていたのは、内なるゲイの遺伝子が暴走していたからだったのでしょうか?

ここで言う「鉄板キメ顔」とは、”んー”と口を真一文字にし、眉間に力を込めた顔のことを言います。

はてさて、なぜこんなにもみんな同じ表情を作るようになってしまうのか?  有識者と一緒に紐解いていきたいと思います。

ー記事の登場人物

TTK

九州生まれの元美大生、現職絵描き。学生時代は油絵を専攻する。お風呂が大好き。しずかちゃんと同じ頻度で入浴してしまうため、乾燥肌が最近の悩み。

@ryok_kichi

1991年生まれ。東京都出身。本職も編集者兼ライター。ファヲタ一歩手前。浪費癖のある海外ドラマオタク。‬

なぜゲイのキメ顔は似てしまうのか?

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早速ですが、いつ頃からこの「んー口」がスタンダードになっているのでしょうか? 僕が画像付き掲示板を見ていた頃にはすでにこの口がスタンダードキメ顔になっていたかと思います。
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TTK
私が記憶してる限りですと10年以上前にはキメ顔の雛形が出来上がっていましたね。その頃のTwitter界隈の自撮りでは「んー口・ほっぺ膨らまし・耳引っ張り」を同時にする顔が流行っていました。今では、あざとすぎるように見えますが、当時これらが三種の神器だったと言っても過言ではありませんね。かくいう私もやっていた時代があります。
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この3つは、どういった効果があったのでしょうか?
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TTK
まず、「んー口」に関しては、唇の情報をなくす効果があります。唇というのは口紅というアイテムが代表的であるように、女性らしさを司る部位になっています。この👄の絵文字を見て女性らしさを感じませんか? これを無くすことによって、口元の情報をフラットにすることができます。昨今で言うと、マスクをつけている人がかっこよく見えたり、美人に見えたりするのと近い理屈ですね。
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なるほど。口元の情報を隠すんですね。確かに歯並びなどのマイナスになり得る情報を隠すことができますもんね。
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TTK
そうです。三種の神器について改めて詳しく説明すると、「ほっぺ膨らまし」ほうれい線を伸ばす効果が期待できます。若々しい印象を与えることができますね。当時のファッションなどでもキャップやハーフパンツ・リュックなどで、少年然としたものを取り入れる方が多かった印象を持っています。「耳引っ張り」やんちゃっぽく、子供っぽいような印象でしょうか。これについてはテクニックとして、顔周りに手を持ってくることで小顔に見せる効果もあります。また、当時”猿顔”が旬の顔だったというのも、この「耳引っ張り」に拍車をかけていたのではないでしょうか。
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「やんちゃっぽさ」というのはキーワードですよね。女の子でもほっぺを膨らまして、指を頬に当てるというポーズが流行っていましたよね。幼く、若々しく見える効果があったのでしょうか?
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TTK
そうですね、頬の丸みも子供っぽいような印象を受け手にイメージさせます。カッコいい、という評価より可愛いという評価が主流だったからこそのような気がします。
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「カッコ可愛い」という言葉を当時よく聞きましたよね。この三種の神器も過渡期をすぎ、「んー口」だけが残りましたよね。

猿顔から犬顔へ。カッコ可愛いの変遷。

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TTK
昨今はSNSの普及や自撮りをネットに上げる文化が以前よりも活発に行われて、可愛い評価とカッコいい評価が細分化し、可視化されていったと思われます。ここでキーワードになるのが「しかめっ面」です。「しかめっ面」には目と眉を近づける効果があります。海外の俳優さんでもよくいらっしゃったり、漫画のカッコいいキャラクターも目と眉の位置が近いキャラクターが多くいると思います。
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『ドラゴンボール』の鳥山明先生や『SLAM DUNK』の井上雄彦先生の描く男の子たちは、今おっしゃられた造形に近いですよね。目と眉の位置が近いイケメンのキャラクターが多いイメージです。
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TTK
そうです。つまり男性性の誇張なのです。これに先ほどの説明した、フラットにした口元の情報をドッキングすることによって、男性性のみを強調した表情を作ることができるのです。漫画『ONE PIECE』のゾロというキャラクターがこの表情をわかりやすく表していると思います。また、先ほど出た”猿顔”というキーワードですが、ここ10年くらいで”犬顔”がメインストリームに入れ替わりました。犬顔の特徴として、「上がり眉・タレ目・んー口」の三つが挙げられます。凛々しい目元にフラットな口元。犬の絵を描けと言われたら誰もが「ω」このように犬の口を描きますよね。口元の情報をフラットにするという意味では、「んー口」と変わらないのです。

「鉄板キメ顔」=表情のキャラクター化

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なるほど。これで今回のテーマである「鉄板キメ顔」の完成というわけですね。端的な話になってしまうと思いますが、目を見開いてアヒル口をするというのは、この「鉄板キメ顔」の対極にあるように感じてしまいますね。
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TTK
アヒル口は女性らしさやギャルっぽさを出しますよね。確かに「鉄板キメ顔」の対極になるのかもしれません。絵を描く時にも男の子らしいキャラクターを描く時は口元をシンプルに描きます。逆にセクシーな女性は唇を強調させるように描きますね。
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男の子らしさを強調した表情を作ることで、自分をキャラクター化しているということでしょうか?
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TTK
その通りです。真顔と比べてだいぶ男性的な印象のある表情になってくると思います。また少し逸れた話になってしまいますが、デブ専界隈でも皆似たような表情になっているという事象もあります。太っている顔の特徴として、目元・口元が赤ちゃんに近いですよね? 笑顔に近い印象を与える効果があるのです。目が細くなる、顔が丸くなるなど、元の顔の情報を消す事ができるのです。
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スタンプのようなわかりやすい表情作りをすることで、自撮りを見た人に厳選された男の子要素を伝えられ、その上コンプレックスを隠したりだとか、真顔で勝負するのが難しい人たちの救済措置のような表情作りであるわけですね。手軽に男の子らしさや優しさを演出して誤魔化せるといったような。
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TTK
そうですね。私もその恩恵にあやかることで写真に写ることが苦にならなくなりました。こうすれば可愛く見える、を示してくれた先人には感謝しても仕切れません。当時は全て同じ顔で写真に写っていました。

キメる。より、ナチュラルに。

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昨今の風潮として、この「んー口・しかめっ面」も、かつての三種の神器のように「あざとい」という認識になっているので、流行りとしては割とナチュラルな顔を作ることが多くなっている気がします。
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TTK
いわゆる「あざとい顔」として周知されるようになってからは、ナチュラルに変化していった気がします。これは携帯の写真アプリの進化が、ナチュラル顔を良しとする風潮の一端を担っているのでしょうね。
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これを経て、今はこのご時世ですから、マスクで口元を隠した、目元だけ見えている写真に何百いいねもついているのを見ると、やはり口元の情報というのは大きいのですね。目元ブスの自分にとっては辛い風潮ですが、これもまた情報を減らす(唇を隠すと同じ)効果ですよね。目元だけイケメンの人は割と多い印象です。
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TTK
口元を隠す事で脳はその人がこんな口元だったら素敵だなと理想の虚像を作り上げます。100人いたら100通りの好みのパターンが出来上がるので当然といっては当然ですね。これの逆も同じことが言えるのですが、ゴーグルマンがカッコいいという文化もありますので、顔の一部の情報を隠すというのは、やはりいろんなことを人に想像させるのです。あざとくて結構! という風潮より天然派が良しとされる文化もかなり根付きつつあると思います。ただ、「キメ顔」というのは、画像ベースのやりとりで少しだけいい思いができるテクニックではありますね。
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やはり、お手軽に整った風の顔というか、男の子らしい顔に見えるのは、「んー口・しかめっ面」なんでしょうね。
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TTK
そうですね。だからこそ完全になくなってはおらず残り続けているのだと思います。

とは言え、キマった時はすごく気持ちいい。

さて、ここまで有識者と共にゲイのキメ顔について野暮なことを言ってまいりました。

しかし、自撮りをするとき、ナチュラルがいいとわかっていても、盛れた! と思える写真は、冷静に見るとキメ顔ばかり……。

すぐにナチュラルで雰囲気のある表情作りをするなんて簡単なことではありません。そもそもド直球で勝負できる顔面だったら、キメ顔なんて小細工してねえよ! と怒りたくなる気持ちも重々理解しております。

ただ、自撮りをSNSにアップする行為なんて自己肯定と承認欲求のなせるワザなのですから、堂々とキメ顔したっていいではありませんか。がっつりキメ顔をして、尚且つその顔の自分が好きで、その上その写真にいいねがついた日にはそりゃ御の字と言ったところ。気持ちがいいこと他なりません。

だとしたら、たまにはバキバキにキメたとしても、バチが当たるなんてことはありませんよ。キメ顔SNSライフを満喫しましょう!!

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