HIV陽性ゲイのリアル#02「治療開始から症状安定まで」

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この記事は、連載となっています。1つ前の記事 − HIV陽性ゲイのリアル#02「治療開始から症状安定まで」− もあわせてご覧下さい。

自分の身体のことを知る! 〜拠点病院での血液検査〜

拠点病院ではまず採血。ぶっといカートリッジ4本程度。検査結果は一週間後なので、採血のあとは体重を測ったり、問診。HIVとセットみたいにもらう人が多いのが梅毒だとのことで、その辺の初期症状がないかの質問が多かった。

そしてその後ザックリと福祉関係の説明を受け、その日は終了。単純に情報量が多すぎて、あまり頭に入ってこなかった……

とりあえず、どこの施設にどの書類を出すか、どんな書類が届いてどんな手続きをするのか、「自分がしないといけない動き」のポイントをヒアリング。

一週間後に結果を聞きにいき、概ねの自分の体の状態を知ることになります。諸々の数値に基づいて、治療方針や薬の組み合わせを決めていく。ぼくの場合はそこまで悪くはなかったが、念のため肺炎を予防するための吸入治療もその日からスタート。

変な苦い蒸気を30分吸うだけなんだけど、これがしんどい。頭がフラフラするとかめまいがするとか具体的なものではないのだけれど、ただ漠然と「具合が悪くなる」という副作用がある。

本格スタート!〜治療から手続きまで〜

さて、前回採血から一週間後、検査結果を聞きにいきます。CD4やウィルスコピーの量、腎臓の数値や肝機能、コレステロール値などなどが記載されたリストを見せられながら説明を受ける。

ちなみに、HIV陽性だと「障害者」として各自治体の支援を受けながらの治療をしていくとこになります。検査結果の諸々の数値で「障害」の度合いが決まります。

それを元に、

  • 障害者手帳
  • 自立支援

に関する手続きを行います。

HIV治療に使う薬はとんでもなく高額。その自己負担金を「○円まで」という支援を受けながらの治療です。僕の場合は、1万円。

最初は、診察、肺炎予防の吸入治療、服用する薬代として、一ヶ月あたり1万円がかかります。症状が安定してくると、一度での処方量を増やしてくれるので、次第に二ヶ月に1万円になり、今は三ヶ月に1万円と、1ヶ月あたりの負担は減って行きます。他にも支援は様々なものがありますが、それは後述。

手続きのために、居住地区のなんていう施設に行けば良いかなどは病院で教えてくれますが、基本平日しか稼働していません。

そして最後に、薬局の選定。HIV治療薬は、いわばオーダーメイドのようなもの。常に置いてあるわけではないので、病院同様に薬局の選定も必要です。僕は病院のすぐ近くを選びました。とはいえこの時点で本格的な投薬はまだ。『バクタ』という薬のみ処方されていました。

関係書類が届く!〜とりあえず、数が多い!〜

障害者手帳、自立支援受給者証、治療と薬の処方代が所定の金額で収まるようにするための管理表の用紙、他カタログみたいな案内冊子が数冊。とりあえず、数が多い!どれが自宅保管でどれが通院時持参かもちんぷんかんぷんに。

でも大丈夫、不安なら全部持って行って、病院で聞けば「次からはこれです」と教えてもらえます。

投薬スタート!! 〜飲み忘れないように〜

そして次の通院から、投薬もスタート。

しかしここで思わぬ事実が発覚。初回から処方されて飲んでいたバクタという薬に、副作用が出ていたそう。たしかにずっと微熱が続き、だるさがあった。初期症状かと思っていたが、まさかの副作用。バクタは中止となりました。後々わかりましたが、血液検査の結果、内臓にも負担がかかっていたみたいです。

そしてついに、これからの相棒となるメインの薬をいただくことに。普通に生活している上で処方される薬とは、まるで異なる見た目。でかいボトルが3本。それに、一粒がでかいのなんのって。でも、意外とすんなり飲めちゃう自分に驚きです。

今飲んでいるHIVの薬 – 1週間分

ぼくの場合、1日1回のみの服用。忘れないようにすること、忘れたことに気がつけるようにしないといけないなと思い、6つの仕切りがあるケースを買いました。1つの仕切りに1日分、補充するときに1セット飲んで、残りは6日分。補充は毎週日曜日。僕はこんな形で投薬を工夫しました。

症状安定!! 〜副作用との戦い〜


治療の成果をはかるために、メインで見ていく数値に

・血中のウィルス量
・免疫数値

の2つがあります。

紆余曲折ありましたが、投薬開始から1年ちょっと、目標としていた免疫数値に到達しました。ウィルス量は、変化が早いです。ぐんぐん減る。免疫数値の目標に到達するより少し先に、「今回の検査では発見できず」みたいな量に。

しかし、治療の裏では副作用との戦いがありました。

僕の場合は、服用してから1時間ほど、体が骨から発熱しているような熱感があります。体温を測っても、変化はない。かといって心の問題とかプラシーボではない、確実な体内の変化。得体の知れないだるさ。飲み会とか、泊まりの時なんかは特に辛かった。「今まで通りじゃないんだ」を実感したのはこういうところかもしれません。

先生に聞いたところ、しっかり治療している人から感染することはほぼないそうです。感染に必要なだけのウィルス量がないんだとか。逆に自覚のない陽性者はウィルス量も多く、梅毒などその他の性病も持ち合わせていることが多いため、感染確率も高いそうです。

ウィルス量が減り、感染させる危険性が減ったということはとても嬉しかった。善意で応急処置をしてくれた方や医療関係者に感染させてしまうのが怖くてほとんど病院にも行けなかったので、これは本当に安心した。(他にも病院に行きたくなかった理由はあるのですが、それはまた追々。)

セックスはかなりご無沙汰気味だったけど、万が一怪我をした時などのことを考えるとやはり、する気になれませんでした…。

ちなみに、今は通院は三ヶ月に一度。薬も三ヶ月分まとめていただく。診察費と薬代も三ヶ月に一度、一万円。年間5万もかかりません。日本の高額医療の補助、とりわけ免疫不全への補助はかなり手厚いです。一般的な年収なら、お金の心配はいりません。

HIV感染発覚から6年〜今伝えたいこと〜

さて、感染発覚から症状安定までの経緯はざっとこんな感じです。改めて振り返ると、色々あったなと思います。その時々のちょっとした気持ちの部分の積み重ねを思い出して書きたい気持ちもありましたが、そのあたりはまた後日。

HIVは、性行為をする限り、誰もが感染する可能性があります。

時々「ゲイである以上、ある程度HIVの覚悟をしている」という方がいます。
正直に言わせてもらいますが、そんな覚悟はなんの役にも立ちません。自己責任だなんだと思っていたとしても、実際にHIVと向き合う本当の辛さ、大変さ、人生の変わり方は当事者にしかわかりません。

これは、ぼくというパーソナリティあっての向き合い方かもしれませんが、感染が確定してから、絶対にしたほうが良いことは「この先何をすべきか、どうすべきか」だけを考えることです。

感染確定と共に、僕の頭はフル回転を始めました。住まい、仕事、その他。「どうしたいか」ではなく「どうすべきか」。ただそれだけを延々と考えていました。

だから、感染してからすぐには落ち込まずに済みました。自分でも驚くほど、気持ちを切り離して、先のことを考えることができた気がします。そのおかげで、足場がしっかり固まったからこそ治療は成功に向かったんだと思います。

絶望は、後からでもできます。

でもいくら絶望しようと、薬と先生と福祉の支援無しでは生きていけないんです。確実に言えるのは、遅かれ早かれ絶望するときは必ずくると思います。その時、治療の土台が出来上がっているかが生命線です。感染が決まったら、それが覆ることはありません。「さて、どうしようか」とまずは考えてほしいなと思います。

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おばけのポージー

HIV+だけど、わりかし元気に、それなり人生楽しく暮らしています。原体験を元に、当事者ゆえの心の揺らぎに対する向き合い方など、書いていきます。

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