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【PR】改めてHIVと真剣に向き合ってみよう。 MR GAY JAPANのHIROさんが、当事者の方に直々にインタビュー

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アンロミー編集部
今回、「Blued」さんからこの対談企画の話を受けた時、改めてHIVと戦う人たちの声を発信したいと強く思いました。かつて死の病と言われていたHIVは、昨今の予防薬や治療薬のめざましい進歩により、死に直結する病気ではなくなりました。しかし、人々の視線はこの時代のアップデートについていけているのか? こういう生の声は何度でも世に出すべきではないかという思いで、今回の企画に携わらせていただきました。

「Blued」は、ライブ配信をはじめとした様々なエンタメ機能をゲイの方に特化し提供している世界最大級のコミュニティアプリです。ゲイの方々が、健康かつ楽しい日々を送ってもらえるよう、HIV/エイズの予防について知り、またそれと同時に日本各地のゲイバーにおいてローションやコンドームを配布するプロジェクトも実施しています。
HIV/エイズの実情についてはまだまだ世の中に正しく知られていないことが多くあります。本特集では、MR GAY JAPANのHIROさんにご協力いただき、当事者の方にインタビューを実施しました。

ーBlued JAPAN 株式会社

ー記事の登場人物

HIRO

3代目MR GAY JAPAN。本記事のインタビュアー。アクティビストとして、同性婚アンバサダーとしても活躍。

りょうすけ

40代。ゲイ男性。会社員。
2007年に陽性発覚。

かっちゃん

‬30代。ゲイ男性。会社員。
2013年に陽性発覚。

陽性が発覚してから

HIRO:MR GAY JAPAN3代目になったHIROと申します、よろしくお願い致します。いきなりなんですが僕自身バセドウ病を患っていて、一生投薬が必要な病気なんですが、HIV陽性とわかる前と後でお二人は精神面の変化とかあったのか、そこをまず聞いてみたいです。

「HIVは死の病じゃありません」

りょうすけ:15年前にセックスをしたお友達から、「実は病院に行ったらHIVだったことがわかって、俺は今りょうすけとしかエッチをしてないから、病院に行こう」って言われて、一緒に病院に行ってもらったんです。そこで陽性だと言われたんですね。その時は3日間くらい眠れなくて、ずっとドキドキしている状態で冷や汗が止まらなかったんですよ。自分が原因になって人に”死の病”をうつしてしまったっていう罪の意識がすごく大きくて。クソ! って薬を壁に投げつけたこともありますし、なんでこんなことになってしまったんだろうって考えていた時期もありました。

かっちゃん:自分はある夏に40°近い熱が1週間ほど続いて、いつも行く病院に行ったら原因が分からなくて、紹介状をもらって地元の大きい病院に行ったんです。でもそこでも血液検査だけして帰らされてしまい、落ち着いてから即日結果を聞かせてくれる保健所で、別室に呼ばれて「もう1度検査し直すので1週間後にここに来てください」って言われて、1週間後に指定されたところに行ったら、その先生とは別に心理カウンセラーみたいな人がいたので、あ、もうそういう時が来たんだなって感じでした。ただその時の心理カウンセラーの方からも「みなさんだいたいここで泣くんですけど、泣かないんですね」って言われるくらい落ち着いていました。小学生の頃に保健の先生が「HIVは死の病ではありません」っていう授業を全クラスにしてくれたことがあって、そのおかげで自分は死んじゃうんだとか思わず、落ち着いて話を聞けたんだと思います。

HIVと体の関係

HIRO:体の変化はありましたか? 疲れやすいとかだるいとかそういう感じのこと。初期症状で熱が出たとかは聞いたことあるんですけど、コロナみたいにずっとこの症状が続くとか。

どうせHIVだから

かっちゃん:自分はB型肝炎にもなっていたらしいんですけど、自覚がなく終わってしまいました(笑)。 当時ダンサーとして活動していたんですけれども、今思えば体力落ちたなあ、とかショーが終わる度に息切れするなあ、みたいな感じでだいぶ体力とか免疫力は落ちていたのかなと。それがHIVと関係するのかはちょっと分からないんですけれども、そういう感覚はありました。

りょうすけ:私もB型肝炎とダブルパンチでした。HIVというのはそんなに感染力が高いウイルスじゃないんですよ。でも別のウイルスに乗っかるとうつりやすいんです。B型肝炎っていうのはもう完治できる病気なんですけど、B型肝炎もなくならない、HIVもなくならないっていうので私の体の中には今2種類のウイルスが生きているんです。そのB型肝炎が暴れるとめちゃくちゃだるいんですよね。でもちゃんと運動するようになって、食べるものにも気をつけたらめっちゃ元気になっちゃって。どうせHIVだからって自分のケアを怠ってきたからだるかったんだろうなっていうのは今思ってます。

HIVと人間関係の変化

HIRO:その後の生活でご家族ご友人関係っていうのは以前以後で変化はありましたか?

りょうすけ:HIVに感染して変わったことはないですね。理由は誰にも言ってないからです。でも、私の感染がわかった時には、お友達が先にHIVの拠点病院に繋がってくれていたので、最初の頃ずっと一緒にいてくれたんですよ。病院もついて行ってくれる、障がい者手帳の申請の仕方も教えてくれる、今後こういう風な流れになるんだよってモデルロールになってくれたんですね。今考えるとその友達の存在があったからなんとか生きてこれたっていうのはあります。その友達とは今も仲良くて、最近のホットな話題も二人でわちゃわちゃ言いながら共有してます(笑)。

安心して繋がれる場

HIRO:そういう方がいない場合は、どういう風な手段を取ればいいんですかね。僕が思いつくのは、ぷれいす東京さんくらいなんですけど。そういうことを打ち明けられる人が身近にいないってなった場合に、どこに行けばいいんでしょうか? 特に地方の人とかどうなのかなって。

かっちゃん:自分は女の子の友達には無事報告をして、あとは病院の先生とコーディネーターナースさんが本当に良い方だったので、そこを頼りにって感じでした。当時自分の場合はぷれいす東京には出会えなくて、発覚してから5、6年経ってからぷれいすと出会ったので、こんなにいい場所があるんだって感動でした。やっぱりぷれいすに繋がれたら、1番安心できる場所だなと思います。(※ぷれいす東京では全国からオンラインでミーティングに参加することができる)

りょうすけ:当時の私もぷれいすには繋がれなかったんですけど、ゲイのHIV陽性者だけのクローズドのSNSがあったんですね。自分よりも早くHIVがわかった人と交流ができたので、オフ会とかにめちゃめちゃ行ったりしてましたね。そういうコミュニティに接続できたのも大きかったなってことを思い出しました。かっちゃんさんがおっしゃったみたいに病気のことをちゃんと受け止めてくれるであろう人にきちんと繋がるっていうのが大事だと思うので、心理的に安全であるのが大前提にあるのかなというふうに思います。あとHIVの拠点病院には必ずソーシャルワーカーもカウンセラーもいると思うので、そこに繋がるっていうのもあるのかなと思います。

私たちはマイノリティの中のマイノリティ

HIRO:オープンにするしないみたいなのって、セクシュアリティのこともあるし、人によりますよね。大きい言葉になってしまいますけど。

りょうすけ:マイノリティの中でもマイノリティだから、ゲイコミュニティの中でも私たちは差別の対象になる。例えば昔、飲み屋で飲んでると「あいつHIVだって〜」ってネガティブな感じで噂話が回ってくるんですよ。「あんなにイケメンなのに」とか「やっぱヤリチンだったね」とかそういうのを私は体験しているので、絶対この場ではHIVであることはバレてはいけないとか。それと24歳当時、教育業界で働いていたんですね。その時に親や子供にバレてはならん、大問題になるってずっと思ってました。

HIRO:かっちゃんさんのお仕事はHIVで変わったんですか?

かっちゃん:そこは関係なくダンスから一旦離れました。その後他の会社に入社する際、入社書類に常備する薬はあるか、とか、持病はあるか、とか書く欄に大体どこの書類も小さく「入社後に発覚した際は解雇になる場合があります」って書いてあるので、それがちょっと怖いなと思って、正直に書いたんです。そしたら人事の方に呼ばれて「採用は採用ですが後日どういう対応をするかお話しさせてくれますか?」とか「特別な配慮が必要ですか?」とか質問をされて入社しました。その後コロナの影響でそこは退職してしまって、引っ越し先で転職活動したんですけれども、やっぱそこで東京と地方のHIVへの認識の差が顕著に現れたなっていうのを実感しているところです。

東京と地方の認知の差

HIRO:今お話を聞いてて、東京だと僕たちが思っている以上にソーシャルワーカーの方とか人事の方とかが柔軟な対応をなさってるなって印象だったんですけれども、それって東京だから何ですかね? 

かっちゃん:だと思いますよ。東京でカミングアウトした企業には、社内に小さいクリニックみたいなものがあって「今回HIVの方が入社したっていうことをそこと上司と人事までには言ってもいいですか?」とか聞かれたり、前例があるんだろうなってくらいすごく慣れた感じでした。で地方に来て「障がい者枠で免疫機能は大丈夫ですか?」って問い合わせをして面接を受けたところ、勉強不足で申し訳ないですけどって言いながら、感染した原因を教えてくださいとか色々聞かれて。セクハラですって言えばよかったじゃんとか言われるんですけど、「血液で感染しにくいっていうのはわかったんですけど、入社後に血液以外での感染しうる行為をしないって言い切れますか?」とか、どんだけ淫らな存在だと思ってるんですかっていう質問をされました。やっぱ地方に出るとこうなのかなって。

HIVと偏見

HIRO:聞けば聞くほど、一昔前のゲイへの差別偏見とかと、ほんとに変わらないですね。今、ウイルス値が検出値以下になれば生でセックスしてもうつらないというところまできているのに、それを我々ゲイ当事者も調べないと知らなかったりとか、ストレートの人たちっていまだにHIVがゲイの病気だと思っているところがあったり。オープンにしたくないって方はたくさんいると思いますけど、そこを解消していくためには、今後どうしていったらいいと思われますか?

1人が理解してくれて、次の1人に伝えていく

かっちゃん:ぷれいすのボランティアを始めたきっかけもそうなんですけど、子どもたちに、身近にLGBTの人がいるよって感じのお話ができたらいいなって思っていて、その中でタイミングがあればHIVってなんだろうねって話もしていきたいなって思っていたんです。でも今回の転職をきっかけに子供よりまず大人だなって気持ちがだんだん大きくなってます。新人教育とか会社の組織を変えるときもそうですけど、なぜか大人の社会って新人を変えていこうとして根っこの役員とかはブラックのままだったりするので、まずは身近な親とか先生の意識を変えていかなきゃなって思い始めたところです。

りょうすけ:大々的に社会を変えるっていうことよりも、まず私の周りにいる人たちにゲイとかHIVとかっていうのは怖くないんだよってことを知って欲しいんですね。適切な知識と適切な関わりがあればみんなで安心して暮らせるんだってことを伝えたいなって思っています。私もかっちゃんさんと同じように子どもへの教育って大事だなと思っているので、性教育の勉強をしたりとかしてるんですけど、それよりも隣にいる頭の硬い友達であったり、お父さんおじいちゃん世代のみなさんに、こういう人間が生きているんだ、それはとても自然なことで幸せに生きていることは知って欲しいんです。私1人から次の1人に伝えていく。そしてこの1人が理解してくれて、次の1人に伝えていくような、伝言ゲームができていくといいなって思ってます。

ゲイであることもHIVであることも自分の一部。

HIRO:僕もセクシャルマイノリティやHIVについてもっと発信して社会の関心を深めていきたいなって常々思っているんですけれども、なかなかいい方法が思い浮かばなくて。

かっちゃん:理解してくれる人がいるのは嬉しいんですけれども、だからと言ってわかってよと押し付けるのは嫌なんですよね、自分を理解してくださいっていう抗議みたいなのはすごく嫌で。どうやってそういうきっかけを作るんだろうって模索をしているところです。

りょうすけ:私もかっちゃんさんと一緒でわかってくれって思わないんですよ、ゲイであることもHIVであることも全て僕のことだから関係ないでしょ? って。でも一緒に考えて欲しいなとも思うんです。それはもしかしたらあなた方の子どもやお孫さんがHIVになって突然あなたの前に帰ってくるかもしれないし、あなたの大好きな人がHIVかもしれない。そんな人たちを優しく受け止めてあげられるあなたでいるために、HIVになった人たちの知識や生き方って言うのをモデルにしてもらえたらいいかなって私は思います。私にとって、もうHIVは悪いものじゃなくて、一緒に生活を共にしてきた相棒のような存在なんです。で、それを否定されるとやっぱりしんどいんですよ。嫌なものとか悪いものって私自身は考えていないし、周りからそういうふうに見られるのもちょっと嫌だなって思います。

お互いの「弱さ」で繋がる社会に

HIRO:受け入れるのに時間はかかったと思いますけど、生涯付き合っていかなきゃいけないってなってからは自分の一部ですもんね。それを否定されるのはアイデンティティを否定されるのと同じことですよね。インタビュー前に下手なことを言って傷つけてしまわないかなって心配していたんですけど、僕たちゲイに思われていることと何も変わらなかったですね。自分の無知とか配慮に欠けて傷つけちゃったら嫌だなって思っていたんですけど、話してみたらお2人ともちゃんと向き合ってるし、本当に僕たちと変わらないなって思いました。

りょうすけ:同じ人間です(笑) もしもHIVがすごくネガティブなものに思えるんだったら、それはHIVっていうイメージがもつ「弱さ」だと思うんです。これは障がいだろうが、病気だろうが、女性だろうが同じことで、みんなと「弱さ」で繋がることができれば、それが強みになって社会や周りの人たちを変えていくきっかけになるのかなと思います。この人たちを怒らせちゃうんじゃないだろうかとか、悲しませちゃうんじゃないだろうかっていう配慮は、とてもありがたい反面、余計なお世話っていうのが私の率直な感想です。けどそういう配慮をしてもらうことも否定はしない。それにみなさんビクビクしてるでしょ? そのビクビクは私たちも一緒なんです。私たちだって初めて会うHIROさんとかに何を聞かれるのかわからないし、もしかしたらアウティングされるんじゃないかとか、そんなことを考えなくはない。でもそうやってお互いが持ってる「弱さ」で繋がれたから、お互いに理解できると思うんです。

かっちゃん:自分も素直なのが一番いいなと思っていて、もし今後カミングアウトされてびっくりしちゃったんなら、「ごめんちょっと急でびっくりしちゃった」とか素直に言っていいと思います。今ちょっと言葉思いつかないから調べてみるね、とか、作らなくていいなって思います。

HIVと共に生きていくために

心身におけるHIV陽性になった経験や感じ得たこと、また人生においてHIVとどう付き添っていくかを当事者の方の実体験からご紹介いただきました。また、HIV/エイズについて、「U=U(Undetectable=Untransmittable/検出限界以下なら性行為でも感染しない状態)」があるといった正しい知識を、多くの方にしっていただくためにも今回の企画を実施しました。
皆様にとって健康で楽しいゲイライブを送っていただきたいのと同時に、もし孤独や悩みにさらされ、「自分と同じ境遇の方と繋がりたい」「このコミュニティ内で悩みを話し合いしたい」という方がいれば、ぜひ「Blued」を使っていただき、心の支えになる「繋がり」を探し、作ってみてください。

ー今回協力をしていただいた「ぷれいす東京」について

今回取材協力をしていただいた「ぷれいす東京」は、HIV/エイズとともに生きる人たちがありのままに生きられる環境(コミュニティ)を創り出すことをめざして活動しているNPO法人です。
本文中にもありましたが、ボランティア活動やHIVポジティブの方達のためオンラインでミーティングに参加することもできます。

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