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【名曲】僕たちの「ゲイ・アンセム」ってなんだろう?

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ゲイ・アンセム / Gay anthem とは、ゲイコミュニティにおいて愛される歌のこと。ゲイである自分を肯定させてくれたり、同性との恋愛を思わせてくれたり。僕らゲイにとっての応援歌、祝歌といえるだろう。

ふとラジオから流れたあの曲、彼とシェアしたイヤフォンで聞いたあの曲、ゲイバーのカラオケで歌ったあの曲ー。

普段音楽を聞いていて、同性を好きになるという理由でなかなか曲にも登場しない「僕たち」を見つけることも実は少なくない。有名ではなくても、ゲイコミュニティに広く人気ではなくても、あなたを確かに元気づけた曲であれば、それは十分なあなたにとってのゲイ・アンセム。

この記事では、日本でも親しまれた音楽を中心に、アンロミー編集部のメンバーお気に入りのゲイ・アンセムをピックアップした。

もしあなたのお気に入りゲイ・アンセムが他にもあれば、ぜひシェアで教えて欲しい。

槇原敬之 – どんなときも。(1991年)

ご存知マッキー、槇原敬之さんの代表ソング、「どんなときも。」

最近では違法薬物を所持したとして罪に問われた際に、「つらいことや大変なことがあっても、今は周りの人に相談できる。パートナーの彼とも分かち合える。」と話したことでも知られ、同性のパートナーがいることは知っている人も多いだろう。

シンガー・ソングライターの彼が紡ぐ歌詞は、セクシュアリティを問わず背中を押されるもの。

どんなときも どんなときも
僕が僕らしくあるために
「好きなものは好き!」と言えるきもち抱きしめてたい

どんなときも どんなときも
迷い探し続ける日々が 答えになること僕は知ってるから

https://petitlyrics.com/

ゲイとして恋愛する以上「好きなものは好き!」と誰の前でもはっきり言うというのがまだまだ難しいことだという状況を踏まえ、この歌詞では「言えるきもち 抱きしめてたい」とされているのが「わかってる」、マッキーならではのポイントかもしれない。

はっきり「好きなものは好き!」と言っていこう!という歌詞ではなく、「好きなものは好き!」という気持ちを(言えはしないけど、せめて)抱きしめていたい。というような、オープンにはしきれない、なんともリアルな心情に歌詞を重ねてしまう人も多いのでは。

こういう絶妙な表現こそが、この歌をゲイ・アンセム足らしめている最大の理由なのかもしれない。

これからも「迷い探し続ける日々」は続くけれど、アップテンポな曲に乗せた力強いメッセージに突き動かされ、いつか堂々と「好きなものは好きである」ということを伝えられるようになりたい、そんな希望を感じた人も多いのでは?

浜崎あゆみ – Boys & Girls(1999年)

ご存知「ayu」こと浜崎あゆみさんは、ゲイコミュニティにも大変人気が高く、2018年には東京レインボープライドのステージで歌唱。

僕たちゲイの人生には、寄り添い護ってくれている歌姫「守護ディーヴァ」がいるのではないだろうか?ということで、アンロミー!でも以前「守護ディーヴァ」のひとりとして紹介した。

Boys & Girlsは、冒頭から「自分の生きざまを100%肯定されている」という気持ちにさえしてくれる、こんな歌詞から始まる。

輝きだした 僕達を誰が止めることなど出来るだろう
はばたきだした 彼達を誰に止める権利があったのだろう

https://petitlyrics.com/

「今まで抑えられてきたけれど、やっと自分らしくスタートを切った僕達を、誰も止めることはできない」ギャルなマインドとも言えるだろうか、そんな自己肯定感を感じる。

ギャルなマインドについては今後詳しく考えていきたいことのひとつだが、「ウチら」と複数形の主語で、自分の仲間たちごと「自分ごと」として考えるのがギャル流。「こうあるべき」という社会の抑圧に媚びず、自分らしいものや好きなものを身につける。

そして「ウチら、いい感じ」というヘルシーな自己肯定感。ギャルにとってもゲイにとっても、この曲はアンセムなのかもしれない。

松任谷由実 – 告白(1997年)

2019年、日本初のLGBTQ支援をテーマにした音楽イベント『コカ・コーラ presents LIVE PRIDE〜愛をつなぎ、社会を変える。〜』にも出演した、ユーミンこと松任谷由実さんのこの曲。

このままじゃ 何もかも 壊されていくこと
このままじゃ 永遠に 結ばれないこと
Don’t be afraid of sorrow 恐れずに
告白はただひとつの絆だから
愛を測らないで 比べないで
禁断の愛などないの No No No

https://petitlyrics.com/

1997年日本テレビ系ドラマ『告白』の主題歌でもあり、ドラマは同性愛をテーマにした内容。歌詞の内容も同性愛についてガッツリ書かれているのがわかる。

25年も前から松任谷由実さんはこういう曲を歌っていてくれたのか…!と思うとともに、25年前から「このままじゃ 永遠に 結ばれないこと」と歌われているような課題が、今となっても続いているのか。と思ったり。

同性愛が「禁断の愛」なんて表現されることも多いけれど、はっきり「そうじゃない!」と言ってくれているのも素敵。

Rina Sawayama, Elton John – Chosen Family(2021年)

ロンドンを拠点に活動中の新潟県出身のシンガーソングライター、リナ・サワヤマのこの曲は、ゲイをカミングアウトしているエルトン・ジョンとのバージョンで一気に注目を集めた。リナ自身も、パンセクシャル(全性愛者)であることをカミングアウト済み。

We don’t need to be related to relate
つながりを持つのに血の繋がりなんていらない

We don’t need to share genes or a surname
遺伝子や苗字を分かち合ってなくたって

You are, you are My chosen, chosen family
あなたは、あなたこそが、私が自分で選んだ家族なんだ

https://petitlyrics.com/ 和訳:アンロミー編集部

「Chosen Family」とは「自分で選んだ家族」のこと。血縁や婚姻などによる家族だけが「家族」だと思われがちだが、セクシュアリティのカミングアウトなどで血縁のある家族から縁を切られてしまったり、どうしても自分の居場所だと思えなかったりする人もいる。

「自分で選んでいない家族」=血縁などによる家族とはうまく折り合いがつかなかったけれど、パートナーやコミュニテイなどの「自分で選んだ家族」が自分にはある、そしてそれこそが自分の居場所だと感じる人もLGBTQ+のなかには多いだろう。そんなあり方を祝福する一曲だ。

まだ見つけていないという人も「自分で選んでいない家族」にずっと心を悩ませるより、「自分で選んだ家族」を探したい、という前向きな気持にさせてくれる。

ゴー・ザ・ディスタンス – 秋山純(1997年)

今後実写映画化が決定しているディズニーの『ヘラクレス』より「ゴー・ザ・ディスタンス」は、ゲイを描いた作品では無いが、もしかするとゲイ・アンセムといえるかもしれない。

※以下映画のネタバレを含みます。

主人公のヘラクレスは、実は神の子。本作のヴィラン、ハデスの陰謀により赤ん坊の頃に殺されかけたが、人間の夫婦に拾われ人間界で成長することに。ヘラクレスは怪力のため友達ができず、人と違うことを理由に仲間外れにされ、どこへ行っても怪力をコントロールできずトラブルを巻き起こしてしまう。そんな彼が、自分のルーツを探るために旅に出るというシーンでこの曲は流れる。

夢にみる その場所は
みんなが僕を 迎えてくれて
微笑むんだ あたたかく
そんなとこが どこかにあるさ
くじけずに 強くなれば
ゆけるだろう いつの日か
たとえどんなに 遠くても
見つけてみせるさ
僕の場所

https://petitlyrics.com/

ただ自分らしく振る舞っているだけなのに、育った場所では皆から迎え入れてもらえず、歓迎を受けられずに生きてきたヘラクレス。そんな彼が夢に見る場所では、あたたかく微笑む人に迎え入れられる。

ゲイのなかにも同じような気持を持ったことがいる人も多いのでは?ここは自分の場所ではないと故郷を飛び出し、たとえどんなに遠くても見つけたいと思える場所を目指す。

田舎で自分をオープンにできずに都会にやってくるゲイも多いので、この曲に共感できる人は意外と多いかもしれない。

おわりに

ゲイであるということと共に生きるのは、楽なことばかりではない。

そんなときに傍らにあってほしい曲、それこそがあなたのアンセムだと思う。

この記事では、アンロミー編集部メンバーが選ぶ、お気に入りのゲイ・アンセムを全部で5曲ピックアップ。

もしあなたのお気に入りゲイ・アンセムが他にもあれば、ぜひ記事のシェアをしてSNSで教えてほしい!

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