デートする男子たち vol.0「町中華」

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新連載「デートする男子たちー2回目のデートは、どこ行きたい?ー」

アプリやSNSだけでは気になるあの人のことはよくわからない。デートに誘い、会って話して、時間を共有してみないとわからないことはたくさんある。お互いに緊張した1stデートより、関係を進めようとして約束した2ndデートの方が、相手のことをより深く知ることができる大切なデートだ。

1stデートのような緊張とは違い、相手のことをもっと知りたい、もっと仲良くなりたいと思って会うのが2ndデート特有の緊張だろう。そしてその時、可愛い男の子たちはどんな顔を見せてくれるのだろう? 彼らの価値観や癖、2人きりの時しか見られない、他の人には見せない顔をほんの少しだけ覗いていきたい。

この企画は、同性パートナー相談所「リザライ」の応援で、執筆されています。

2回目のデートは「町中華で飲(や)ろうぜ」

今回の相手は、飯田橋で「バー ちゃばしら」の店長をしている要くん(@kaneme_0912)。カフェバーだけでなく、週末はお店でお菓子教室「cafe男子茶房」を開いたり、ハッキリとした甘いマスクでモデル業も頼まれたりと幅広く活躍している。

春だというのにひどく冷え込んだ日曜日の午後。彼とJR神田駅で待ち合わせをした。改札を出て彼らしき人を探してみる。季節外れの黒いダッフルコートと、春らしい軽いシャツを着て彼は待っていた。

この日は2回目のデート。友達の紹介で知り合った彼は、普段からこういう出会いを大切にしているらしい。アプリでの出会いに疲れ、デートをするきっかけはバーで出会いやSNSでの交流、友達の紹介が多いと言う。最初のデートはカフェでお茶をして、次は町中華でお昼から飲もうと彼から誘われた。BSの番組で見てから町中華で飲みたかったらしい。

普段は中野や高円寺でよく飲んでいるらしいが、ラム肉が美味しいと評判の町中華が神田にあると彼が友人に勧められ、そこに行ってみようということになった。

自分が接客業だからされて嫌なことはなしないんだよ。

休日の午後の2時過ぎからお酒を飲めるのは、お酒が好きな人とでないとなかなか難しい。

お店に入ると迷うことなくテキパキとオーダーを決めてくれた。店員さんへの態度がすごく丁寧だったので、優しいんだねと言うと、自分が接客業だからされて嫌なことはなしないんだよ。と彼は言う。飲食業をしている彼らしいルールだ。

2人分のビールと名物のラム餃子など少しつまめる程度の食べ物を頼んだ。もともと少食で、お酒を飲むときもあまり食べないらしく、お酒をよく飲む人のオーダーの仕方だなと思った。

お酒を飲む人じゃないと、遊んだりするのは嫌? と彼に聞くと、そんなことないけど、飲みの場に付き合ってくれる人だと嬉しいかなあ。気取った感じが得意じゃないから、こういうどこにでもある中華料理屋さんとか、赤提灯とかの大衆居酒屋に行っても一緒に楽しんでくれる人がいいなって。

そう言いながら、昼間のビールを美味しそうに飲んでいる。ほとんど自己紹介だけで終わった初デートとは違って、2回目のデートは色々な要くんが見られそうだ。

シャイなリアリスト

少し人見知り気味な彼は、話をする時少しだけ目を逸らしながら、照れたように話をする。でも聞いたことには優しくしっかり答えてくれる。休みの日はキャンプや旅行をするのが好きで、今はなかなか旅行に行けないのがつまらないとか、料理にあったお酒をいろいろと試しながら飲むのが好きだから、食べ物の好き嫌いが多い人だと一緒に楽しめることが減っちゃうなあ、とか。

のんびりとした口調だが、好きなものは好きとハッキリしていたり、一言一言芯のあること言う。話せば話すほど、彼の性格がさっぱりして男の子っぽいのがよくわかる。

「勘違いされるんだけど、僕はズボラでめんどくさがりだし、告白とかも自分からガンガンするタイプなんだよね。気は弱いんだけど、意思はちゃんとあるタイプだと思う……」

これまで話してて、感じていたギャップの通りだった。可愛い、という第一印象が話しているとどんどん変わっていく。

ハイボールを2杯おかわりし、顔が少し赤みを帯びてきた頃、ようやく目を見て話してくれるようになった気がする。酔うと要くんはよく笑うんだなと思った。

「ウチ」はね……

お互いの好きな音楽の話から、彼がaikoのファンであることがわかった。あの歌詞がね、あの曲はね、と熱くなって話している姿は、可愛い要くんだ。

酔いのおかげか、人見知りが少し解けたようで、要くんは自分のことをたまに「ウチ」と言う。きっとこれは、みんながみんな見られる姿じゃないんだろう。距離が近くなった気がして少し嬉しくなる。

恋人の前ではどんな感じなのか気になったので聞いてみた。ダレた関係にはしたくないから、裸は付き合っていても隠したいという。気を張りたくはないけれど、恋人との間には少しの緊張感を持っていたいようだ。しかしセックスの後、一緒にお風呂に入るのは好きだと言う彼。付き合ってもロマンスが続きそうな関係が想像できる。

誰かを支えたり支えられたりしたいなって。

デートも終盤、ふと彼からこんなエピソードを溢された。20代の頃、彼が大きな病気をして入院をしたときに当時の恋人が付き添えなかったという思い出だ。彼の中で、そのことは大きく残っていたらしく、コロナ禍になってこのことをよく思い出すという。

「こういうご時世になって、仕事にも大きく影響があったけど、これから先1人でいるのは、なんとなく嫌だなって思ったんだよね。体とか心が弱ってる時に1人ってしんどいじゃん。いち人間として、誰かを支えたり支えられたりしたいなって。誰かと一緒にいる時間を大切にしていきたいってすごく感じたんだよね。」

そうなんだ。めんどくさがりでリアリストだと思っていた彼が、こういうことを口にすると、ついときめいてしまう。会いたい理由が一つ増えた。

日も暮れて、明日もお互い仕事だからと2回目のデートは終わった。ほろ酔いの彼と駅で別れる頃には、もっと彼のことを知りたくなっていたが、1人でも生きていけそうな彼の、人恋しがる顔を少し見れただけで、今回のセカンドデートは大収穫だった。

家に帰って酔いが醒めたら彼にまた会いたくなっていた、今度は彼をどこにデートに誘おうか。

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