
「わかりたい」という目線で 「うちの息子はたぶんゲイ」

あなたはどんな学生時代を過ごしていましたか? 自分のセクシャリティを周りに言えないことで、困ったり、時に苦しい思いをしたり。
いまだに、感じることがある人もいるでしょう。そんな時にどう考えたら良いのか。
今日はその手掛りを教えてくれる作品を紹介させて頂きます。
あらすじ
知子は単身赴任の夫と二人の息子を持つ母親。そんな彼女が気になることが。それは上の子の浩希が好きな相手が男の人だろうということ。
つい「彼氏ができたら」と口走った後に慌てて「彼女と言い間違えた」なんて否定する息子を優しく見守りながらも、時に子どもたちから学ぶ家族の物語です。
ガンガンコミックスpixivで全5巻発売中。
作家SNS
https://twitter.com/okura_yp
優しい家族の優しい物語
本作品はゲイではない相手への片思いや、ゲイに理解がない人からの無自覚な言葉を言われるなど、思春期のゲイが経験しがちなエピソードを積み重ねていくタイプ。
一話一話は短編なので、ちょっとしたすき間時間に、気になる部分だけを読むこともできるようになってます。
それにしても、浩希と弟の結理は本当に良い子。浩希は自分が傷付いたり、上手くいかなくても決して他人を責めたりはしない。弟の結理も、クールながら、兄の内心を察してフォローするタイプ。
そんな兄弟の母親だけあって、知子の視線も優しい。自分自身が無意識に持っている先入観と向き合いながらも、浩希を尊重して接していく。
読んでいく中で、きっと優しい気持ちになれるハズ。
こんな風に理解してくれたら
この作品のポイントは語り手がゲイであろう浩希ではなく、母親の知子だということだろう。
当事者の苦しみから焦点がズレることで、ゲイではない人々にも他人事ではなくなり、みんなの物語になっている。
そして、どう扱ったらわからない人に、どんな風に受け止め、振る舞ってくれたら助かるかのサンプルを提示してくれている。
もし、もう少し自分のことを理解して欲しいと思う相手がいるならば、その人の元に置き忘れていっても良いかもしれませんよ。