今どきのコンプライアンスに引っかかりがちな僕たち

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憂さ晴らしにも飽き飽きしている「アンロミー!」読者の皆様こんにちは。

メディア戦国時代の波に乗り切れないゲイメディア「アンロミー!」です。

昨今、マスメディアやSNSで度々見かける炎上騒ぎ。コンプライアンスなんて言葉を耳にする機会も増えましたよね。巷で使われている意味のコンプライアンスを簡単に説明すると「社会規範」「社会道徳」のことを多く指しているように思います。

要するに、「それってアウトじゃない?」とみんなが声をあげられるようになったわけですよね。

ただ、昨今言われているコンプライアンス。とても大事なことなので、これをゲイコミュニティに照らし合わせて、しっかり真面目に考えていこうと思います。

ダイバーシティ

ダイバーシティは、直訳すると多様性を意味する。 集団において年齢、性別、人種、宗教、趣味嗜好などさまざまな属性の人が集まった状態のこと。 もともとは人権問題や雇用機会の均等などを説明する際に使われる。

この言葉、この数年で耳にタコができるくらい聞いたのではないでしょうか? オリンピックに向けて重い腰をあげて、国(火付け役はおそらく小◯百合子)がこの言葉を多々使うようになりました。セクシャルマイノリティ界隈での会話でも、多様性というこのワードを免罪符のように使っているのをよく聞きます。

多様性、多様性と言ってはいますが、果たして多様性とは何を指すのでしょうか? 

十人十色なはずなのに、十人十色を良しとしない習性、あなたの中にもありませんか? 自分とかけ離れて違う人を、異質なものとしてジャッジしていませんか?

前髪系は前髪系とだけ集い、髭短髪は髭短髪とだけ集う。それって本当に多様性なんでしょうか。そもそもゲイの僕たちって、そんなに多様性って大事にしてるんでしょうか。否、してない気がする。これを言ってるのはゲイコミュニティの外にいる人なだけな気がする……。 ”だけ”じゃないですね、ごめんなさい。もちろん当事者として戦っている人はたくさんいます。ただ、内輪で足並み揃ってない問題、あると思うんですよね。いや、でもこれも多様性か。ゲイだからって足並み揃える必要もないですもんね。あれ? これ、揚げ足とりになっちゃう?

ルッキズム

ルッキズムとは、人を容姿の美醜によって評価し、身体的魅力に富む人(美男美女)とそうでない人を差別して扱う、という考え方(ステレオタイプ)を意味する表現。「外見至上主義」とも訳される。

この説明を聞いて、1ミリもドキッとしなかった人はまじでやばいですよ。あなたの中にルッキズムが、当たり前のように根付いてしまっています。しかし、今この原稿を書いてる、Mac Bookくんも一発で変換してくれなかったルッキズム。

正直、しちゃうよね。ルッキズム。わかります気持ちは痛いほど。でも良くないんだって、これするの(当たり前)

「顔」「体型」というのは、この世界でわかりやすいボーダーラインを示してくれます。いまだに似たようなファッション、似たような体型、そこら辺のノンケでは到底区別できない髭と髪型。中身は二の次の見た目至上主義は、たくさんのホモを悩ませています。

この「モテ」というキーワードは、ノンケ・ゲイ問わずにあらゆる人に呪いをかけていることでしょう。男受けするファッション特集なんて、かつての女性誌では結構当たり前に組まれていた企画ですよね。今やったら確実に炎上モノです。(いまだにメンズ誌では「女受けするにはこのコーデ」なんて企画をたまに目にしますが)

ノンケのメンズ誌でもこんな企画がまかり通るなら、男だらけのこの世界そりゃなくならないぜルッキズム。でもそれってすごく今っぽくない。らしいですよ。その人がどんな見た目の人なのかではなく、その人がどんな人なのかで人付き合いしましょう。

エイジズム

エイジズムとは、年齢に基づいたステレオタイプや、偏見、差別のこと。わかりやすく言うと、「いい年してこんな格好をするなんて」「~するには年を取りすぎている」と決めつけたり、人が何かを物忘れしたらすぐに「年を取ったからな」と言ったりすることは、無意識な年齢差別の表現にあたる。

エイジズム。怖い言葉です。40歳以上は映らなくなるようにするフィルター。怖いフィルターです。

「年齢はただの数字」なんて、どこかの大女優が言ってるような言葉がありますが、この世界ではそんなの通用しません。ただの数字でも積み重ねてきた歴史でもない! 一般人にしてみたらただのデッドラインです。

売れる、売れない。なんて怖い言葉もありますが、それに加えて「30代なのに◯◯なんて」と、大人としての品性も求められるようになる。今は若く、そういうフィルターをかけてる人たちも、いつかはそのフィルターをかけられる立場になることを忘れているのです。

ただ、これはあくまで数字だけの情報で、実際に生で会ったら年齢なんて関係なく魅力的! って人もいますけれど。あれ!? これってルッキズム? 

セクシャルハラスメント/アルコールハラスメント

セクシャルハラスメント/アルコールハラスメントとは、性的ないやがらせ。特に、女性が職場などで男性から受ける、性的なことばや行為。もとい、飲酒に関連した嫌がらせや迷惑行為、人権侵害を指す。飲酒の強要上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。

今更説明するような言葉ではないですが、この世界に根強くはびこるハラスメント地獄。

SNS、アプリ、ゲイバー、ところ構わず脊髄反射で繰り出されているセクハラ。見た目のことを褒めるのもセクハラになってしまうんですよ? 知ってましたか?

ただ、セクハラは受け手が不快に思うか思わないかの問題でもあるので、はたから見たらそれセクハラでは? と思うことも、その両人の間では割と気持ちよく、お手軽前戯になってたりするので、これ以上野暮なことは言いません。

アルハラに関しては、飲み歌、飲みゲーが定番になっている飲み会もあったりするので、こればかりの場所には個人的には行きたくないですね。

そういえば、ゲイバーに出始めた時分「アルハラ・セクハラまみれじゃん!」とママに愚痴をこぼしたところ、「そう、だからみんな出世するのよ。」って言われて衝撃でした。だってすごく納得してしまったんですもん。

ミソジニー

ミソジニーは、女性に対する嫌悪や蔑視の事である。 女性嫌悪、女性蔑視などともいう。 

これ、正直このラインナップに入れようか迷いました。だって別にゲイだからと言って女性が嫌い! という頭の悪いことを言いたいわけではないのですから。

これはあくまで個人的な意見として聞いていただきたいのですが、Twitterなどで流れてくる「こう見えてタチしかできません」的な自撮りに、まあまあな数のいいねがついていたりすると、これって結局男性性が強い人の勝ち? とか邪推してしまうのです。(結局顔or体型がいいと言うのが大前提なんですけど。あれ、これまたルッキズム。)

加えて、悪意のあるニュアンスを含んだ「ほんとそういうところ女だよね」という言葉。薄ら感じるミソジニーの気配……。

「ナヨナヨしている人無理です」「女っぽい人NGです」「オネエはちょっと……」などなど、結局何をとっても「男らしい」が正義のこの世界。 あ、この話、男性至上主義・男根主義にまで話が広がり深淵を覗き込んでしまいそう。これ以上はやめておきましょう。

これらのコンプライアンスを踏まえて……

さて、ここまでダラダラと書き連ねてみて、このコミュニティに若干の絶望してしまっている筆者ではありますが、自分の人生ゲイコミュニティだけが全てじゃないし〜、と言い聞かせるようにこのまとめを書いています。

ただ、コンプライアンスという言葉を盾にしてゲイコミュニティから嫌われたくないというのも本音の一つ。媚びは売りたくないけど、仲間外れも嫌だ! と拗らせた自分が心の中で叫んでいます。

全てが悪とも思えないのが正直なところ。仕方ないことってあるよね、と半ば諦めモードになってしまいがちですが、みんなが少しずつアップデートしていけば、のちのち自分に向けられる刃の鋭さが少しはマシになるのかも。

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